稲沢市で備えるべき南海トラフ巨大地震対策の本命は液状化現象による二次災害です。その3

災害・ハザードマップ

前回、その2では、巨大地震が稲沢市を襲った際に、二次災害としてもたらされるであろう液状化現象の発生する根拠について触れていきました。1977年執筆の森山昭雄氏の地理学評論かでは、地面の表層20~30cmは、市内を縦横無尽に走っていた河川の名残による扇状地表層堆積層自然堤防堆積物そして後背湿地堆積物で構成されているようで、またこれらを総称して泥質堆積物と呼んでおり全体として著しく細粒であることが定義づけられています。

どうしてこんな約50年も前の資料を探っていたのか。

それは、この稲沢市の将来的な災害対策を検討するにあたっては、その地学的な成り立ちを無視することができないと考えたからです。以前別のエントリーでも触れましたとおり、この西尾張エリアには「」「」「」など水(もしくは水辺)にまつわる地名が溢れています。沼地が多く、島のように切り離されていた地形が多かったという史実がその地名の由来となっているのです。もちろんそれは稲沢市だけではありません。これはつまり河川との縁が切っても切れないことを意味しています。治水工事の歴史のとおり、河川氾濫制圧に多大な労力が注ぎ込まれ今の稲沢市があります。さまざまな犠牲と叡智の上で水の通り道を支配するに及んだその莫大な労苦に畏敬の念は絶えません。しかし、この治水という災害対策はあくまでも水難に対するものであり、誤解を恐れず申し上げれば、巨大地震の前では残念ながら表面的なものとなります。

今後、地盤工学会で公開されている「稲沢市下津地区の地盤構成」(濃尾地盤研究所・金城学院大学 正会員 内園立男 氏執筆)という論文をもとに、実際の地下ボーリング(掘削)のデータから考察を深めていきたいと考えています。

その前に、つぎの投稿へとこの話題は繋がっていきました。