以前、自転車のヘルメット着用の努力義務がはじまることを投稿しました。
加えて、そこでは自転車で車道を走るときの自動車との接触事故から身を守る「自己防衛」の考え方に触れました。道路交通法で自転車は「軽車両」と定義されています。そのため、基本的には車道を走行しなければなりません。すると、ヘルメット着用はとうぜんのことながら、同じ”車両”の枠にいる自動車との共存をつよく意識する必要があります。どうしてこんな話題を持ち出すかというと、どうやって安全に身を守りつつ目的地にたどりつくか、という議論が進んでいないと考えているからです。
さて、稲沢市内には片側2車線の道路というと、パッと思いつくところで下津エリアを南北に抜ける通称「旧22号線」と呼ばれる愛知県道190号名古屋一宮線と夢逢橋を東西に抜ける名古屋豊山稲沢線、 そして、稲沢市市役所の西側を同じく南北に抜ける通称「西尾張中央道」の愛知県道14号岐阜稲沢線の区間くらいでしょうか。この幅の道路になると歩道もしっかりと整備されていますよね。しかし、それにあわせてそこを走る車の速度も市道にくらべどうしても高くなっています。
先日、所用で名古屋市内を車で走りましたが、国道22号線の一部に「自転車専用通行帯」が設けられていました。歩道と車道の間に整備され、しっかりとした柵で防護されているのでハタから見ていても安心感があります。それでも実際には、歩道を走行したり車道と歩道を行ったり来たりしている自転車を見かけました。
昭和からの意識だと、やはり自転車は歩道を走っていても当たり前のような感覚がどこかに残っています。しかし、車道を走る自転車は車に対して”交通弱者”ですが、いざ歩道を走っていけば歩行者に対して”交通強者”となってしまいます。加害事故のことを考えれば、とうぜん交通強者のほうが罪が重くなってしまいます。
できるなら、車が横をビュンビュン抜ける車道より、歩道を走りたい。
そんな思いはやはりどこかにあると思います。そこで、あらためて考えたいのは、自転車が歩道を走ることが違反になるのかどうか、という点です。このことを実は自転車安全整備士・自転車技士の資格勉強を機会にあれこれ調べていました。
結論からいうと、自転車は条件付きで歩道を通行することができます。それは以下のケースです。
- 道路標識等により自転車の歩道の走行が認められている場合
- 高齢者や児童・幼児など、自転車の運転者が車道を通行することが危険であると認められている場合
- 道路工事や自動車との接触の危険性が高いなど、やむを得ない理由がある場合
さきほど、自転車で車道を走ることのリスクについて述べましたが、上の2番、3番のケースではしっかりと歩道の走行が例外として許されています。車の走行速度の高い大きめの道路ならば、ほとんどのケースで歩道も広く整備されています。命を守る運転を心がけるためには、許される限り歩道を利用する議論をしていかなくてはならない、そんな時代が訪れたのです。
ただ、こうして例外的に歩道を走行する場合でもそこにはさらにルールが定めれています。
- 歩道の中央から車道寄りの部分(自転車通行指定部分があるときはその部分)を徐行しなければなりません(道路交通法第63条の4)
- 歩行者の通行の妨げとなるときは、一時停止しなければいけません(ただし、自転車通行指定部分に歩行者がいないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行が可能)。
自転車が”交通弱者”から”交通強者”になる瞬間から、さらに責任が増えていきます。このあたりのジレンマは自転車利用へのストレスとなりかねません。稲沢市内では、縁石が設置してあるだけの歩道の箇所もいまだ多く、それ自体が自転車にとっては転倒の危険にさらされる障害となっています。
ヘルメット着用の努力義務化のタイミングにあわせて、そうした道路整備などの足元となる、通勤や通学、買い物などモビリティ環境の改善の取組みについても議論を重ねていくべきです。

「このまちをデザインする」をモットーに、日本のほぼど真ん中、愛知県の最西、すでに半生を過ごしたここ稲沢市でエヴリデイ東奔西走中!
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二十歳ではじめての国府宮はだかまつり参加以来、市内勤務を経て2001年より稲沢市在住。その後、長女の出産、ボランティア活動などあらゆる出会い、体験・経験を経て、2008年より祖父江町四貫地区(長岡校区)にて居を構えています。
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