稲沢市がNECといっしょにデジタルツインによるなにかの実証実験を開始するようです。

ITとAIとデザイン

ソース(元ネタ)が、元来パソコン最大手だったNECのインターネットプロバイダー「ビッグローブ」の運営するニュースサイトから流れてきたものなので、精度の高い話題だと思います。その内容はというと、これがけっこうむずかしい。まず、URLを記載しておきます。

愛知県稲沢市とNEC、3D-GISとデジタルツインによる行政高度化の実証を開始https://news.biglobe.ne.jp/it/0330/mnn_230330_8967827388.html

具体的にどんなことに活用できるのかが注目ですが、上のソースに1枚の画像がありましたので引用させていただきます。

この画像だけではわかりづらいですね。

同市における地域課題を解決するために、3次元で視覚化された地理空間情報システム(3D-GIS)を活用し、効果的な政策立案や設備保全の高度化による市民サービス向上を目的とした実証実験を実施すると発表した。

https://news.biglobe.ne.jp/it/0330/mnn_230330_8967827388.html

この中にある”地理空間情報システム(3D-GIS)”とは、これまで平面だった地図のデータに高さを加え、3次元のデータとして取り扱うことです。これは、標準的なIT用語です。上の画像の説明とあわせて考えると、どうやら市民サービスの中でも市内のインフラ整備や管理・運営に対して最適化を図ることを目的とした実験を大手のNECとはじめるよ、ということのようです。

どんな恩恵があるのでしょうか。

具体的には、3D-GISを活用し、子どもの多い地域において、防犯灯や防犯カメラなど防犯設備の可視範囲、照射範囲の死角や遮蔽物を3次元解析することなどを通じて、人口密度、空き家などの情報を統合した地域の安心・安全な評価モデルの構築を目指す。
このほか、地下埋設物(上下水道施設等)を3D化し、埋設物の正確な位置情報を可視化するという。

https://news.biglobe.ne.jp/it/0330/mnn_230330_8967827388.html

最近のIT分野では、今話題のAI”ChatGPT”の少し前に”メタバース”なるキーワードがもてはやされていました。インターネットを介して、仮想でつくったもうひとつの世界「疑似世界」にアクセス(アバターとして参加)してさまざまな体験(エクスペリエンス)を得る、というものです。下のように”デジタルツイン”という言葉が出てきます。

近年、行政においては、現実空間に関するデータをデジタル空間に再現したデジタルツインを活用することで、さまざまなデータを組み合わせたシミュレーション結果を現実世界に反映させ、まちづくりや政策に活かす動きが注目されている。

https://news.biglobe.ne.jp/it/0330/mnn_230330_8967827388.html

さきほど、平面(二次元)の地図に高さの座標軸(Z軸)を加えて立体化した3D GISの説明をしました。この説明ではわかりにくいですが、やはりメタバースのように仮想空間を作り上げること、そしてそこにもうひとつの要素である”時間の流れ”を加えることで現実的に起こりうる事象をシミュレーションし、現実世界との対比の中で行政判断に活用しよう、という仕組みのようです。「AIを活用して」とも記載があるのでまさしくそうですね。

”デジタルツイン”というワードの説明はIBM社ではこんな感じに定義しています。

デジタルツインは、物理的オブジェクトを正確に反映するように設計された仮想モデルです。 研究対象となるオブジェクト (風力タービンなど) には、重要な機能分野に関連するさまざまなセンサーが搭載されています。 これらのセンサーでは、エネルギー出力、温度、気象条件など、物理的オブジェクトの特性のさまざまな側面に関するデータが生成されます。 生成されたデータは処理システムに送られ、デジタル・コピーに反映されます。

https://www.ibm.com/jp-ja/topics/what-is-a-digital-twin

IBM社でもすでに商用化しているモデルなんですね。

今回NECは、というよりかは、グループ企業のNECソリューションイノベータ社ですね、こちらの既存の地図情報システム「GISAp」にさきほどの3D-GIS機能(Z軸)を新たに加えたものを新サービス「GISAp Cities」としてパッケージングしたようで、この先行試験運用に稲沢市が手を挙げたもののようです。

このところの稲沢市、先進分野の取り込みに積極的ですね。